小川絵梨子ならではの新たな視点で創り上げる新生『エクウス』
ピーター・シェーファーの戯曲『エクウス』は、実際に起きた事件をもとに描かれており、表面的には異常犯罪を描きながら、人間の心の闇と情熱を真正面から捉えた心理劇の傑作です。
1973 年にロンドンで初演され“演劇史に残る衝撃作”として高い評価を得て、1979 年にブロードウェイで上演されると、トニー賞で主演男優賞など多数部門にノミネートされ最優秀作品賞を受賞。その後世界中で上演され、1990年に劇団四季が日本初演いたしました。そして2007 年ロンドン ウエストエンドでの公演でダニエル・ラドクリフがアラン役を務め話題となりました。
この傑作戯曲を小川絵梨子による新訳・演出で上演いたします。米国アクターズスタジオ大学院演出学科を日本人で初めて卒業、小田島雄志・翻訳戯曲賞、紀伊國屋個人賞、読売演劇大賞優秀演出家賞ほか多くの受賞歴を持つ小川が、満を持して挑む本企画。現代の視点から人間の「正気と狂気」の境界を鋭く描き直す、今この時代にこそ観るべき、新たな『エクウス』が誕生します。
織山尚大が3年ぶりの主演舞台で挑む、少年アランはなぜ凄惨な事件を起こしたのか…
周りを取り巻く大人たちと馬を演じる実力派キャストが決定!
これまで数多くの名優たちが演じてきた少年アラン・ストラングに、 近年はドラマや映画など映像作品でも活躍する織山尚大が挑みます。アランの中にある純粋な情熱と信仰の力にどのように向き合うのか、期待が寄せられます。
そしてこの度、少年アランを取り巻く人物たちを演じる全キャストが決定いたしました。
アランの治療を担当することで自身の内面とも向き合うことになる精神科医のドクター・ダイサートに村川絵梨。乗馬クラブでアランに馬との関係を与え事件の引き金となるジル・メイソンに岡本玲。騎馬の若者とアランが崇拝する馬たちは須賀貴匡が演じます。「馬=神」という信仰心を持つアランに対して象徴的な存在となるでしょう。ダイサートの補佐で精神病院の看護師に近藤隼。裁判所の判事へスター・サロモンに津田真澄。乗馬クラブのオーナーでアランの行為を告発したハリー・ダルトンに坂田聡。さらに、敬虔なキリスト教徒でアランを溺愛する母ドーラ・ストラングに長野里美、無神論者で宗教に否定的な父フランク・ストラングに千葉哲也と実力派キャストが揃いました。アランが起こした事件といかに対峙するのか、そしてこれまでの上演では男性が演じてきたダイサートを女性が演じることで本作にどのような変化をもたらすのか、ぜひご注目ください。
【あらすじ】
17歳の少年アラン・ストラングが、6頭の馬の目を突いて失明させるという衝撃的な事件を起こす。
動機も理由もわからぬまま、アランの治療を引き受けることとなった精神科医のダイサート。
しかしアランはコマーシャルソングを口ずさむだけで、ダイサートの質問には⼀切答えようとしない。
宗教に反対する父親、息子をただ溺愛する母親・・・
アランはその心の奥に何を抱えているのか、そしてアランに心を開かせようとする中で、
ダイサート自身の内面もまた激しく揺さぶられることになる。
【スタッフプロフィール】
【翻訳・演出】小川絵梨子(おがわ・えりこ)
1978年10月2日生まれ 東京都出身
演出家、翻訳家。2004年、アメリカ・ニューヨークのアクターズスタジオ大学院演出部を日本人として初めて卒業。06~07年、平成17年度文化新進芸術家海外派遣制度(二年制)研修生。18年9月より新国立劇場の演劇芸術監督を務める。近年の主な演出作品に、『WOYZECK』『ピローマン』『デカローグ1,3,5,9,10』『ART』『おやすみ、お母さん』『管理人』『レオポルトシュタット』『ダディ』『アンチポデス』『ダウト~疑いについての寓話』『検察側の証人』『キネマの天地』『ほんとうのハウンド警部』『ユビュ王』『ART』『タージマハルの衛兵』『死と乙女』『骨と十字架』『WILD』『熱帯樹』『スカイライト』『出口なし』『マクガワン・トリロジー』『1984』『FUN HOME』『The Beauty Queen of Leenane』『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』『CRIMES OFTHE HEART-心の罪-』『マリアの首-幻に長崎を想う曲-』『死の舞踏/令嬢ジュリー』『コペンハーゲン』『スポケーンの左手』『RED』など。
【キャストプロフィール・コメント】
織山尚大 (おりやま・なお)
2003年10月27日生まれ 東京都出身
幼少期よりダンスを始め、2018年より少年忍者のメンバーとして活動を始める。グループ活動のほか、俳優としても映像、舞台で様々な作品に出演している。近年の主な出演作に【映画】『うちの弟どもがすみません』(24)、【ドラマ】『リベンジ・スパイ』(25・EX)、『恋する警護24時』‘24・EX)、『高良君と天城君』(22・MBS)、【舞台】『犬との約束』(22)などがある。
【コメント】
この度、舞台「エクウス」のアラン・ストラング役を演じます織山尚大です。本作は、僕にとって初めてのグローブ座公演となります。このような舞台、そして主演という貴重な機会を与えてくださったすべての方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。近年、世の中でも様々な映像作品が増えている中、舞台だからこそ味わえる”生”の衝撃や感動には、とても大きな価値があると感じています。舞台上で、肌と肌をぶつけ合いながら繰り広げられる芝居、そしてお客さんの目の前で積み上がっていく物語が、こんなにも美しいのかと、ぜひ実際に劇場で観て、感じていただけたら嬉しいです。劇場でお待ちしております。
村川絵梨 (むらかわ・えり)
1987年10月4日生まれ 大阪府出身
2002年にユニット「BOYSTYLE」として歌手デビュー。04年に主演映画で俳優業に進出し、05~06年には連続テレビ小説『風のハルカ』(NHK)でヒロインを務める。近年の主な出演作に【映画】『金子差入店』(25)、『キングダム 大将軍の帰還』(24)、【ドラマ】『トウキョウホリデイ』(25・TX)、『あの夜をすくいに』(25・ABC)、『どうせ死ぬなら、パリで死のう。』(25・NHK)、『財閥復讐〜兄嫁になった元嫁へ〜』(25・TX)、【舞台】『焼肉ドラゴン』『またしても登場して頂きましょう』(25)などがある。
【コメント】
今回上演される小川さん演出の『エクウス』は、主人公の青年と向き合う精神科医の役が男性から女性の設定になると聞き、そしてそんな大役を背負わせていただく事になり、本当に身が引き締まる思いです。
実は精神科医という職業に以前からとても興味がありました。今まで演じた事はありません。
「普通」とは「崇拝」とは…
脚本を読んで、今現在を人間として生きている私達に、たくさんのメッセージを投げかけてくれる作品だと感じました。誠心誠意、挑みたいと思います。
岡本玲 (おかもと・れい)
1991年6月18日生まれ 和歌山県出身
第7回ニコラモデルオーディションにてグランプリを獲得しデビュー。以後ドラマや映画、CM、舞台と多方面で活動しており、2024年には第37回高崎映画祭で最優秀主演俳優賞を受賞。近年の主な出演作に【映画】『たしかにあった幻』(26年2月公開予定)、『茶飲友達』(23)、【ドラマ】『その結婚、正気ですか?』(23 ・MX)、【舞台】『狂人なおもて往生をとぐ―昔、僕達は愛した』『みんな鳥になって』『ポルノグラフィPORNOGRAPHY/レイジRAGE』(25)などがある。主演映画『ひとりたび』の公開を控える。
【コメント】
三度目となる小川絵梨子さんの演出のもと、人間の深淵を見つめるこの作品に参加できることをとても嬉しく思います。ジルとして、ひりひりと愛おしい命を感じる瞬間を、偽らず丁寧に積み重ねていきたいです。生きることの光と影を見つめながら、劇場で皆さまと心を通わせられたら幸いです。劇場でお待ちしています。
須賀貴匡 (すが・たかまさ)
1977年10月19日生まれ 東京都出身
1999年舞台にて俳優デビュー。2002年には『仮面ライダー龍騎』で主演を務め、以降、映画、舞台、ドラマなど幅広く出演している。近年の主な出演作に【映画】『退屈なエンドロール』『邯鄲の夢 三重芝居と四人の役者』(23)、【ドラマ】『おむすび』(25・NHK)、『弁護士ソドム』(23・TX)、『決戦!源平の戦い』(22・NHK)、『ここにタイトルを入力』(22・CX)、【舞台】『炎の風景』『受取人不明 ADDRESS UNKNOWN』『シークレットライフ -Secret Life of Humans-』音楽朗読劇『三毛猫ホームズ』(25)などがある。
【コメント】
今回『エクウス』で主人公アランに対し、象徴的な存在となる騎馬の若者役を演じます須賀貴匡です。この物語の中では主人公にとっての馬は、内なる欲望や自由への象徴なのだと思っています。
初見で読んだ時に感じた、とても神秘的でスリリングでもあるこの戯曲、どのような世界が立ち上がりお客様にお届けできるのか、演出の小川さん始めスタッフ、キャストの皆さんと、共に創作していければという思いです。劇場でお待ちしております!
近藤隼 (こんどう・じゅん)
1984年2月15日生まれ 東京都出身
2007年、串田和美氏の主宰するTCアルプの発足に参加。以来、まつもと市民芸術館主催公演をはじめ数多くの舞台に出演。23年より拠点を東京に移す。近年の主な出演作に【舞台】『逆さまの日記』『ベイカーストリートの犬』(25)、『リチャード三世』『らんぼうものめ』『デカローグ』『かむやらい』(24)などがある。12月より上演の舞台『スリー・キングダムス』への出演を控える。
【コメント】
出演のお話をいただき戯曲を読んだ時、アランとダイサートの対話に、自分の中にも説明できない思いや痛みが息づいていると感じました。馬が駆ける感覚と、人が街で生きる姿の対比にも強く惹かれました。常識や倫理の裏側にある衝動はまだうまく掴めていませんが、人間の弱さや揺らぎにそっと寄り添う小川絵梨子さん、そして共演者の皆さんとともに、稽古場で生まれるものを大切にしながら歩んでいきたいと思います。
津田真澄 (つだ・ますみ)
1963年9月11日生まれ 山口県出身
1986年より劇団青年座に所属。劇団公演のみならず多くの舞台に出演、2011年公開の映画『長ぐつをはいたネコ』で日本語吹替を務めるなど、声優としても活躍する。近年の主な出演作に【映画】『この世界の片隅に』(16・声の出演)、『葛城事件』(16)、【ドラマ】『女性用風俗』(25・FODショート)、『警視庁強行犯係 樋口顕Season2』(22・TX)、『名古屋行き最終列車』(21・NBN)、【舞台】『アルルの女』『柿紅葉のころ』(25)、『どん底』『デカローグ』『シングルファザーになりまして。』(24)などがある。
【コメント】
高校生の頃に、夢中で何度も読んだ『エクウス』。
どんな舞台なんだろう、ここはどうなるんだろう、ああ観てみたいと憧れた舞台に、まさかまさか自分が出演することになるとは、夢にも思っていませんでした。
演出の小川さんはじめスタッフの皆さん、錚々たる出演者の皆さんと共に、新しい『エクウス』が立ち上がっていく過程を、ワクワクしながら、大切に、臨みたいと思っています。
坂田聡 (さかた・ただし)
1971年12月12日生まれ 福岡県出身
明治大学在学中に演劇集団ジョビジョバに創立メンバーとして参加。2002年の活動休止以降はさまざまな舞台のプロデュース公演に参加する。近年の主な出演作に【映画】『劇場版 それでも俺は、妻としたい』(25)、『日本で一番恐くない間取り』(24)、【ドラマ】『こんばんは、朝山家です。』(25・EX)、『それでも俺は、妻としたい』(25・BSTX)、【舞台】『テイ・る オブ ナイトメア』『6回の表を終わって7-0と苦しい展開が続いております(仮)』(25)などがある。
【コメント】
思い起こせば2020年グローブ座で舞台『〇〇な人の末路~僕たちの選んだ××な選択~』を公演中、緊急事態宣言が発令され、あと10ステージを残して公演中止になりました。憂さ晴らしに飲みに行こうと思ったのですが店もやっておらずトボトボ新大久保の駅に向かったのを覚えています。それ以来の東京グローブ座となります。新年一発目張り切って頑張ります。素晴らしいキャスト、スタッフの方々と焦らずゆっくり丁寧に作り上げていこうと思ってます。
長野里美 (ながの・さとみ)
1961年8月15日生まれ 神奈川県出身
早稲田大学在学中に鴻上尚史率いる劇団第三舞台に参加。以後、劇団解散まで殆どの作品に主要メンバーとして出演。2023年にはパルコステージ『凍える』にて第30回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞する。近年の主な出演作に【映画】『サンセット・サンライズ』(25)、【ドラマ】『べらぼう』(25・NHK)、『対岸の家事』(25・TBS)、【舞台】『嘘と真実』(25)、『NOT TALKING』『女40歳 肉屋のムスメ』(24)などがある。また、出演ドラマ『もしもこの世が舞台なら楽屋はどこにあるのだろう』(CX)が放送中。
【コメント】
息子に限りなく愛を与えているつもりでいて、自分の価値観や世界観を押しつけているだけに見える母、ドーラ。
そんな無意識の罪を犯しがちなのが人間で、家族もお互いに振り回されているのがこの世界。
小川さんの新訳によって、とても分かりやすく身近になったこの物語を、さあ、今度はどう紡いでいくのか。
今回で3回目の演出を受けることになる私は楽しみでしかたない。
特に前回、爆上がりに引き上げて頂いたので、戻ることなくそこから始めたいと思っています。
千葉哲也 (ちば・てつや)
1963年10月27日生まれ 神奈川県出身
1987年、演劇企画集団「THE・ガジラ」に旗揚げから参加。俳優のみならず演出家としての活躍もめざましく、読売演劇大賞優秀演出家賞、読売演劇大賞優秀男優賞、紀伊國屋演劇賞個人賞など数多くの受賞を誇る。近年の主な出演作に【映画】『Cloud クラウド』(24)、『空母いぶき』(19)、【ドラマ】『ROOM〜史上最悪の一期一会』(BS-TBS・24)、『ブラック・ジャック』(EX・24)、【舞台】『焼肉ドラゴン』『紅鬼物語』『ハイ・ライフ』(25)、『姉さんは、暖炉の上の、壺の中─My Sister Lives on the Mantelpiece』『路上7 インパーフェクト・デイズ』『デカローグ』(24)などがある。
【コメント】
戯曲を読み終えて、深いため息が出たのと同時に思わず唸ってしまった。美しさ、純粋さ、そして残酷さと…。
恥ずかしながらこの歳になって、人として色々と垢が溜まっていながら、新しい挑戦に踏み出す事をこっそりサボっている自分に、まるで警鐘を鳴らすかの様に、馬達の地ならしの音が、蹄の音が今も響いている感じである…。
1+1=2という考え方ではなく無限に、そして正解も無く…。文句無くこの戯曲にはまさにその挑戦をさせてくれそうである。
この作品を小川絵梨子さんや出演者、スタッフと共に、このエクウスの瞳の中に何を見る事が出来るのか…そんな旅が出来る事が今から待ち遠しい限りである。
【公演概要】
公演名称 『エクウス』
作 ピーター・シェーファー
翻訳・演出 小川絵梨子
主演 織山尚大
公式サイト https://www.equus-stage.jp
制作協力 ゴーチ・ブラザーズ
主催・製作 東京グローブ座
【東京公演】
公演期間 2026年1月下旬
会場 東京グローブ座
チケット料金 S席11,000円/A席9,500円(税込・全席指定・未就学児入場不可)
お問合せ 東京グローブ座:03-3366-4020
【大阪公演】
公演期間 2026年2月中旬
会場 サンケイホールブリーゼ
チケット料金 S席11,000円/A席9,500円(税込・全席指定・未就学児入場不可)
お問合せ キョードーインフォメーション:0570-200-888(12:00~17:00※土日祝休業)

