長塚圭史率いる阿佐ヶ谷スパイダースが、その旗揚げ公演『アジャピートオジョパ』に新たなエピソードを加えてリメイクし、2002年に上演した『ポルノ』。地元福岡の劇場にてこの上演を目撃し、それが自身の演劇の原点になっていると語る劇団ゴジゲン主宰の松居大悟が、満を持して、この衝撃戯曲の演出に挑みます。
2016年に下北沢ザ・スズナリにて、長塚圭史作『イヌの日』を独自の感性で演出し話題を呼んだ松居が、10年越しの想いを込め長塚が生み出した名作『ポルノ』を新演出版で上演いたします。演劇のみならず、「ちょっと思い出しただけ」「リライト」「ミーツ・ザ・ワールド」など映画の世界でも着実にキャリアを重ね、不器用にしか生きられない人間達が紡ぎ出す可笑しくも切ない日常を、繊細にそして真摯に表現し続けてきた松居。2026年に『ポルノ』をどのように蘇らせるのか。松居が絶大の信頼を寄せる同世代の俳優・クリエイター達とのコラボレーションが生み出す化学変化からも目が離せません。
<STORY>
「なりたいんだよ議員。弱者の味方になりたいんだよ。」
坂の多い町を舞台に7人の男女が織りなす、美しくも醜悪な恋物語。
1組目は子どもができない若い夫婦。ある日、夫が家に帰ると、妻が見知らぬ青年を拉致監禁し「自分が産んだ子どもだ」と言い張って育児を始めている。2組目は心と体を傷つけ合いながらも別れられない、着ぐるみ役者とOLカップルの話。3組目は足を怪我した元着ぐるみ役者で今売り出し中の女優と、その着ぐるみに憑いていた妖精との恋の話。
【プロフィール・コメント】
【作】長塚圭史(ながつか・けいし)
1975年5月9日生まれ 東京都出身
劇作家・演出家・俳優。1996年演劇プロデュースユニット阿佐ヶ谷スパイダースを旗揚げ(2017年に劇団化)。2011年ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動。2017年「新ロイヤル大衆舎」を結成。2021年4月よりKAAT神奈川芸術劇場芸術監督を務める。近年の主な作品に、KAAT x 新ロイヤル大衆舎vol.2『花と龍』(演出・出演)、舞台『チ。 ―地球の運動について―』(脚本)、阿佐ヶ谷スパイダース『さらば黄昏』(作・演出・出演)。
【コメント】
『ポルノ』は2002年に半蔵門のTOKYOFMホールで上演した作品で、阿佐ヶ谷スパイダースの1996年の旗揚げ公演『アジャピートオジョパ』という作品をリライトしたものです。『ポルノ』というタイトルは若気の至りとも言える21歳で書いた旗揚げ作品を見つめ直して「曝け出す」というような心づもりもあったのかも知れません。ただ骨格以外は全て書き直し、さらに新たなエピソードを2つ加え、3つの物語を繋げた作品となっています。案外気に入っていて、いつかまたやってもいいのかもと思っていましたが、松居大悟さんが手を挙げてくれたので一旦任せることにしました。私の「いつか」は当てにならないから有難い話です。松居さんは以前にも『イヌの日』を演出しました。凶暴な頃の私のロマンチシズムに惹かれるのでしょうか。あの頃の私は随分ロマンチックでした。いずれにしても、恥ずかしいような気持ちも半分抱きつつ、やはり楽しみにしているのです。
【演出】松居大悟 (まつい・だいご)
1985年11月2日生まれ 福岡県出身
ゴジゲン主宰。2008年にゴジゲンを旗揚げして以降、すべての作品の作・演出を手がける。2012年「アフロ田中」で長編映画初監督。「ワンダフルワールドエンド」(15)でベルリン国際映画祭出品。その後、「私たちのハァハァ」(15)、「アイスと雨音」(18)、「くれなずめ」(21)、「バイプレイヤーズ」シリーズ(17-21)などを手掛け、「ちょっと思い出しただけ」(22)で東京国際映画祭にて観客賞・スペシャルメンション受賞。「リライト」(25)は、ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭にて観客賞受賞など、枠にとらわれない作風は国内外から評価が高い。監督作「ミーツ・ザ・ワールド」が公開中。
【コメント】
2002年、高校生の時、福岡のパヴェリアホールで阿佐ヶ谷スパイダース『ポルノ』を母に連れられて見に行った。ドラマでも映画でも漫画でも見ないようなギリギリの正義を振りかざす姿にとことん打ち抜かれ「演劇ってすごいんだ」と震えて、劇場上空から降ってくる劇中の街宣チラシを拾って帰ったことを覚えている。
その後、上京して演劇を始めて、東京でも長塚圭史さんの手がける劇は欠かさず見に行って、2005年のPARCO劇場『ラストショウ』はとくに印象に残っている。
2008年に劇団を作って、2010年に阿佐ヶ谷スパイダースの所属しているゴーチ・ブラザーズに入った。あの『ポルノ』を作った人たちの場所に憧れていたからだ。
そして色々あって演劇を辞めていたが、演劇を再開する第一弾として、2016年に阿佐ヶ谷スパイダース『イヌの日』の演出をした。初恋の子とその友達を15年間防空壕に閉じこめる話だ。あの時からいつか『ポルノ』を手がけるまでは劇を頑張りたい、と思っていた。
2026年春、『ポルノ』を演出させていただきます。24年前の衝撃をそのままに皆様に届けたい。少年少女は空からの啓示を、大人たちは背徳的な観劇体験を。
楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
【公演概要】
公演名称 『ポルノ』
作 長塚圭史
演出 松居大悟
公式X @gorch_stage #ポルノ2025
チケット一般発売日 2026年1月(予定)
主催・企画製作 ゴーチ・ブラザーズ
公演期間 2026年4月
会場 下北沢・本多劇場
お問合せ ゴーチ・ブラザーズ 03-6809-7125(平日12時〜18時)
※詳細は、後日発表いたします

